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気がつくまで何度でも。

 気がつくまで何度でも。
 ⇒追記から本文。
 

 まるで、彼はじめじめとした梅雨のようだ―――。
 横目で彼を見ながらそう思った。
 毎年毎日べそべそしているし、彼の涙はバーゲンセール真っ最中なのだろうか?
 いくら安くてもこんなに要らないし、むしろ御断りを申し上げたい現状ナウ。
 

「で、あの女俺のこと平手打ちにしたんだぜ?信じらんねー」

 彼、紘一は自分の背中にびっちりとくっつき、めそめそと涙を流している。
 毎回、女に振られるとこうだ。私的にどうも、扱いにくい。
 振られるのなら付き合わなければいいのに。
 自分のカットソーは涙で湿り具合が悪いし、鼻水だってつくこともある。
 いや、もう涙も鼻水もこれで拭っているに違いない。絶対そうだ。
 そうならハンカチでも貸してやるのに、むしろ、この横に主張するように置いてあげているティッシュを使えばいいのだ。
 まったく、気を遣わない奴である。

「あんな、すぐキスしようとする女、はじめっから本気じゃなかったのに、ふ、ふざけんなよ」

 紘一は恨めしいといった様子で、その女をなじり、罵倒していた。
 自分は、もうこんな状況にいささか疲れている。今日は部活動の剣道で散々しごかれてきたし、明日は小テストが行われるのである。万年最下位をキープしている紘一とはわけが違うのだ。
 竹刀を持って素振りしている瞬間、紘一は誰かしらとキスでもしているだろうが。
 ―――気にしたら負けな気がするので深くは考えないが。

「早紀~何か言えよお」

 ぐしぐしと、紘一は背中を叩く。正直鬱陶しいし勘弁してもらいたい。
 だが、毎回紘一は懲りることなく女にふられ、こうして自分の家までやってくるのだ。


「いい加減泣き止んだらどう?男なのにみっともない」
「う、うう、出るもんは、仕方ないだろお!」

 懲りないよな、ほんと・・・人の気も知らないで。
 そう思いながら開いてあるノートと教科書を交互に見てペンを走らす。
 それに不服なのか、紘一はがくがくと自分の肩を揺らした。それによって線が歪になる。
 少しぐらいは迷惑になることを考えていただきたい。

 辛抱仕切れなくなり、紘一を見てとどめの言葉を言ってしまう。

「君って、本当に馬鹿だよね」

 ふう、とわざとらしく盛大にため息をつきながら。
 これで、紘一はどん底に突き落とされたような顔になり、わんわんと泣きついてくるのだ。
 本当に、鬱陶しいし心底浅はかで馬鹿だと思うし、まるでふられるために女と付き合っているようなものだ。

「本当にもういい加減、泣き止んだらどう?みっともなさすぎ、かっこ悪いよ」

 そういうと、紘一はまたわんわんと泣き出すのだ。
 本当に、仕様がないヤツである。
 頼ってくれるだけで、こんな姿を見せてくれるだけで若干嬉しがったりしてしまう自分もどうかと思うが。

 まったくとんでもない、どうしたことか、この愛しい、愛すべき馬鹿を―――。




―――――
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